1年間の射精回数。略して年精数。
日々の中で、泳ぎに行った回数と射精回数を記録していて、泳ぎのほうは、基本的にホームプールの年内営業が終了した時点で完了となり、そのため12月29日に「swimming pooling」で報告をしたのだけど、こと射精に関しては、12月31日の23時59分59秒まで判らない、それどころか、ともすれば、果たしてこれは2024年最後の射精と言うべきか、はたまた2025年最初の射精と言うべきか、という事態さえ起り得るので、どうしたってきちんと年が明けてからでないと最終報告をすることができない。もっとも紅白歌合戦をスタートから23時45分までがっつり観て、そのあと「2355-0655」で年越しを迎えるわが家で、夕方以降どのタイミングで回数が増える可能性があるというのか、という話ではあるのだけども。
そうは言っても厳密に、きちんと2025年になってから、やおら集計ノートを取り出し、改めて1月からの毎月の回数を加算してゆく作業を始めた。書初めであったり、秘め初めであったり、年始に行なわれる儀式的な行為というのはさまざまあるが、僕が年が明けて本当に最初にする行為は、この年精数の算出ということになってゆくのだな、と思った。
それというのも、これの1年前(2023年)が初めての、年精数の把握であったわけだが、このときは年泳数の集計と一緒に年末に行なって、それはやはり12月29日のことだったのだけど、その時点での数字が108という、年末に馴染みのある愉快なものであったこともあり、そこから2日間あった年内はもう数を増やすまいという意思を固めてしまった、といういきさつがまずあって、さらには今年において、10月が終わった時点でそこまでの数字を出すという行為をして、そこから「1年前の自分より1歳年を取った現在の自分」としての矜持が刺激され、昨年の数字に対して負けてたまるかと奮起し、11月はそれでずいぶんと励んだ、などという展開を経て、しかし12月中旬において僕はようやく達観し、頂上戦争時のエースの心持ち、「もうジタバタしねえ」の境地に到達して、そこからはもう心の中に設置された、合計数字のカウンター表示に「?」のパネルを被せてしまい、一切の恣意なく、思うがままに、したいと思ったときに自由に射精をするという、本来あるべき形に戻したのだった。だから去年の数字に勝ったのか負けたのか、最後の時点で本当に判っていなかったのである。そのためワクワクしながら、年が変わるなり集計した、という次第である。
というわけで、いよいよ発表に移りたいと思う。
その結果は、…………(ドラムロール)…………ドンッ!
109回。
違うんです。本当なんです。嘘じゃないんです。恣意性は、11月の振る舞いは、それはもちろん明らかな恣意があったわけだけど、説明したように、12月に合計数とにらめっこして射精を調整するようなことは一切しなかったんです。でも結果的に、1年前よりも1回だけ凌駕するという、今年の勝利欲求を充足させつつ来年以降になるべく負担をかけないという、なんかしらの作為があったとしか思えないような数字になってしまったんです。本当です。やってません。やらかしてません。信じてください。
そしてこの109という数字をはじき出した瞬間、なんともぞわぞわした気持ちになったのは、この日、大みそかの午後、ファルマンと子どもたちが実家に行って、ひとり家に残った際、その際の、たった数時間前のそれこそが、そのままでは去年とまったくの同数であった年精数を、寸でのところで上回らせたのだという、ヒリヒリするようなスリル感ゆえだ、ということもここに追記しておく。予定されていたスケジュールではない。たまたま巡ってきたチャンスで、ならばとカウンターの数字をひとつ進めた。あれが運命を分けたのだ。日常でなかなかこれほどのギリギリの局面は味わえない。年精数の算出、暮しに刺激を与える、とてもいい習慣のように思えてきた。
2年目である去年(2024年)に関しては、10月末での集計という行ないをしてしまったため、少し話が雑然とした感がある。年数を経るにしたがって、徐々に制度はブラッシュアップされ、整ってゆく。途中集計は、今後基本的に禁止にしたいと思う。したいと思うが、プレイヤーの気持ちになって考えると、たしかに10月末あたりで、そこまでのペースを確認しておかなければあまりにも不安だろう、算出の結果あまりにもさんざんな(すなわち老いを感じさせる)数字が出たときの哀しい年明けと来たらどうだ、などと思うと、これはなかなか一筋縄にはいかない問題である。よって年精数協会の本部に持ち帰って、役員レベルで協議することにする。
それはともかく、とりあえず109回という数字はめでたい。しかも素数だ。割り切れない思いを、それでも割り切ろうと思って、2024年の僕は年精数を重ねたのかもしれない(ちょっとなにを言っているのか分からない)。
今年も回数はもちろん、質にもこだわって、納得のいくプレーを続けていこうと思う。現役生活も、えーっと、デビューがたしか13歳だったと思うから、28年目になるのかな。これからは勢いだけではなく、テクニックで観客を魅了してゆけたら、と思っている。応援よろしくお願いします。