ともだちんこ


BSのドラマ「G線上のあなたと私」を観ていたら友達が欲しくなった。このドラマは、松下由樹、波瑠、中川大志が演じる、46歳の主婦、27歳の無職、19歳の大学生が、バイオリン教室で一緒のクラスになり、仲が良くなるというお話で、これまで友達と言えば、だいたい自分の年齢から上下5歳くらいまでと、漠然とイメージしていたので、こういう友達もありなのか、と蒙が啓かれた。
 だから、当座のところその予定はないが、例えば僕もヤマハのバイオリン教室に通いはじめたとして、そのクラスには、21歳の女子大学生と、20歳の女子短大生と、19歳の女子専門学校生がいたとする。それプラス36歳の僕。その4人にも友情は生まれるということになる。いやお前はダウトだ、お前以外の3人は仲良くなってグループLINEを形成し、そのグループLINEではよく、教室にいるひとりのおっさんをキモいキモいと言い合って嗤ったりもするだろうが、お前を含んだ友達グループは決して生まれない、なによりお前自身が、そんな年齢の女の子たち相手に気さくに話したりできないだろ、きょどってどもるだろ、という指摘もある。しかしなにか歯車が本当にうまい具合に噛み合って、なにより前提として、我々4人は互いの立場や年齢など関係なく、会うべきして会った運命的なソウルメイトなのだとすれば、僕はきょどってどもったりすることなく、すごくいい感じに彼女たちと友達になれるかもしれない。なんかほら、教室を終えて駅まで一緒に歩いているとき、瑞穂(20歳の短大生)に一方的に言い寄ってきたストーカー男を、僕がとてもスマートに撃退してみせたり、あるいは雨のそぼ降る日の教室の近くの道端に、今にも死にそうな、病気まみれの老犬が捨てられていて、それを僕が持ち前の博愛精神で優しく抱え上げ、犬が天に召されるのを見届けてやっているところを、奈津美(19歳の専門学校生)がちょうど見ていたり、さらには俺が死んだ恩師に手向けるための花を買った花屋で絢(21歳の大学生)がアルバイトをしていたり、なんかそんなことがあって、たしかにひとり異質な立場の僕も、すっかり彼女たちに受け入れられ、我々はとても確固とした友情で結ばれるかもしれない。
 そしたら我々は4Pをすることになると思う。
 よく「異性間の友情はあると思う?」という問いがある。なんか、「旦那は「あいつは友達だから」と言って地元の女友達とふたりで会ったりするんですけど、私はなんとなくモヤモヤするんです……」などと相談がなされるそれである。この問いかけに対する答えとしては、僕はもちろん、成立すると思う。異性間の友情は成立する。と言うより、友情に異性も同性もない。爽子、友達って、気づいたらもうなってんの! だ。だから逆に、絶対的な友情を信じる、友達の化身とも言える立場からすれば、そんな問いかけが生まれることそのものが不可解だ。不可解と言うより、もはや哀しい。フレンドシップイズノーディスクリミネーション。友情に差別はないのです。どうかそんな疑問は持たないでください。
 その上で、異性間の友情にセックスはある。これもまた当然の話で、友情って心を開くことで、心を開くことは、すなわち股を開くことだから、そんなのもう当たり前にセックスだと思う。フレンドシップイズアカインドオブリビドー。友情は性欲の一種なのだ。だから友情で結ばれた我々4人が4Pを行なうのは、とても自然なことで、そういう意味で僕は友達が欲しい。かわいいのが欲しい。かわいいのしか要らねえ……。