顔パンツを巡る冒険 5

 水着にならないグラビア、というのがたまにあるだろう。堀北真希とかがやるやつ。ここで持ち出すのが堀北真希というのが、我ながらなんともいえないと思う。結局、それ以降の時代、そこまでグラビアそのものに強い関心を持っていなかったため(最近また再燃している気配もあるけれど)、時代がそこで止まってしまったのだ。そんなホマキを代表とする脱がないグラビア、キャミソールにショートパンツ、あるいはノースリーブのワンピースくらいの薄着で微笑んでいるだけの、そういうグラビアを目にして思うのは、こんな股間への刺激のないものに割かれた誌面がもったいない(他にいくらでもビキニになってくれる女の子がいただろうが)、ということと、それと同時に、これでビキニグラビアと同じレベルに欲情することができたら最強だろうな、ということだ。なにしろビキニの女の子は、プライベートゾーンを隠しているという意味では、普通の服と同じくらい健全であるはずなのに、実際は滅多にいない。普通のプールにはあんな小さい水着の女子はいないのだ。真夏の、ナイトプールとか、湘南の海とか、本当に限られた場所にだけいる(とされている)。それに対して、ホマキ程度の薄着の女の子は、世の中に普通にいる。だからそれで欲情することができれば、その人の世界はとてもハッピーなものになるに違いない。
 顔パンツにも、その可能性を感じる。顔は、これまで当たり前に晒すものとされてきたし、今後も、コロナの感染状況に関わらず、完全に秘匿するものとはならない。普通に考えて、女の子がそれを外したとき、すかさず欲情できるほどには、確固たるプライベートゾーンにはなり得ない。しかし前回の記事でもいったように、確固たるプライベートゾーンではないけれど、淡いプライベートゾーンに、顔は、この2年でなった。この淡さは、普段まとめ髪にしている女子が、プールの授業のあと髪を下ろしている姿であったり、あるいは夏休みにばったり会った女子が近所の気楽さからキャミソールにショートパンツという薄着姿であったりという、そういう淡さであると思う。
 つまりホマキの薄着グラビアで発情できる人間は、顔で発情することができる。顔で発情できるってすごくないか。だって芸能人はみんな顔を出している。その昔、マスク(とサングラス)は芸能人の象徴だったが、今はそれがすっかり逆転した。一般人がマスクを着け、芸能人はマスクを着けない(テレビに出ている間は)。じゃあ、それに発情することができたら最強だろうと思う。その人にとって、テレビはいつだってイメージビデオだ。バランスボールに乗ったり、なんか棒状の食べ物をいやらしく食むやつだ。夢のようだな。