勃起旅行


起のことについてウェブ上で情報を探っていた。ウェブって自分の興味のある情報を得るための道具なので、どうしたって僕は勃起のことを中心に探ることになる。そして勃起について検索していると、普通に自分の勃起の写真を、とても淡いボカシで公開しているブロガーなんかがわりといて、そんなブログを開いてしまったとき僕はどう思うかと言えば、なんか頭が下がるな、と思うのだった。これまで僕はブログでさんざん勃起について語ってきたが、自分の勃起の写真を撮ってそれをアップするという発想はなかった。参考画像として勃起したちんこの写真を載せれば話が簡単に済んだところを、あくまで言葉で表現しようとした。そのほうが偉いんだよ、なんてことは一切ない。文章よりも画像のほうが偉いし、さらに言えば画像よりも映像のほうが偉い。だってデータ量が多いんだから。データ量は偉さ量。だから画像を載せずに文章でなんとかしようとすることは、勤勉なんかじゃなく、怠惰なのだと思う。自分の勃起写真を公開しているブロガーたちを見て、しみじみとそう感じた。それで、じゃあ今後は反省して勃起の写真を載せるのかと言えば、もちろんそんなことはしない。できない。できない程度の人間、できない程度のブロガーなんでげすよ、あっしは。という引け目を感じながら、これからも文章を書いていくしかない。
 それで、勃起系ブログの人々が、勃起の能力をいかにして高めるかという話題の際、必ずと言ってもいいほどに口に出す言葉に、「PC筋」というのがある。これはペニスから尻にかけてのあのあたりにある筋肉で、骨盤底筋とも言う。これがよく鍛えられていると、体型も崩れないし、尿も漏れないし、なにより勃起の持続力やパワーが増す、という風に言われている。それであの人たちはしきりに「PC筋トレーニング!」と言うのである。かく言う僕も最近それを意識して暮している。効果のほどは知らないけれど。
 それにしたってPC筋とはどういう言葉だ、という話で、気になったのでそれも検索した。そうしたら元は「pubococcygeus muscle」だと判った。どこで区切ればいいのかぜんぜん分からないけれど、なるほどやけにcが多いからPCとしておけば間違いなさそうだな、と思う。しかし発音がまったく分からない。できることなら友達との会話の際、「PC筋がさあ……」ではなく、「pubococcygeus muscleがさあ……」と言いたいものである。それで、こんなときはやっぱり映像様の出番だとなって、Youtubeで検索した。そうしたら外国人がこれについて説明している映像があり、それを繰り返し聴いた結果、これは「プィーボコクスィヅィアスマッスル」と発音するらしいと判った。流麗な発音にはだいぶ練習が必要そうだ。
 しかし新しい言葉を知ることができて、とても勉強になった勃起の旅だった。みなさんもせわしない日常を忘れ、たまにはゆったり勃起の旅に出てはいかがですか。そうだ、勃起しよう。